【恐怖】最近経験した病院であった怖い話wwwwwwwwww

hospital_4.jpg
1:  2023/05/30(火) 21:39:22.204

需要見込めないけど書いてみる。



マジかよその病院ハンパねえ


3: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 21:40:08.073

誰もいない病室からナースコール


4: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 21:40:09.015

廃病院か?


5: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 21:41:19.700

書きためてない?


6: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 21:41:32.421

手術中「…あっ………」


7: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 21:42:05.068

>>4
廃病院での出来事をあたかも恐ろしい体験談のひとつとして書いてるやついるけど
「自分は不法侵入しました」って言ってるようなもんだし馬鹿だなって思う


8: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 21:43:45.402

多分皆が期待しているような話じゃない。無事立ったので書く。

最後まで読んでも何が怖いのかわからない人はいると思う。
そんな人には申し訳ないが、今までにない種類の怖い思いをしたのは本当なので書いていく。
自分でも何が怖いのかうまく説明できないかも知れない。
蛇足多くて長いけど、実話系ってそんなもんと思って、フェイク混じってっけど良かったら読んで。


9: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 21:44:50.855

俺30代後半、救急車で病院に担ぎ込まれることがキッカケの数か月前の話。

仕事の休憩中、俺は国道を渡るため陸橋の階段を上っていた。
朝から降っていた雨が上がったばかりで、階段の手すりは水滴だらけだった。
日頃の不摂生がたたって陸橋の階段を上るだけで軽く息切れするが、手すりを使うのは憚られた。
昼時を外して休憩に入ったため、
国道の交通量は多いものの歩いている人は視界に入る限りはいなかった。


10: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 21:48:29.915

どこからともなく湧いて出る
とぎれることない君への想い


11: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 21:55:29.001

革靴で濡れた階段を踏むたびキュウキュウとソールが鳴るのを聞いて、
「なんかみっともないな、買い替えようかな。」と考えていたところまでは思い出せる。

次に思い出せる記憶は救急車の警光灯の光がたまに視界に入るのを背景に、
ヘルメットをかぶった青い作業服の男性が自分の前立って、何かがなっている。
その人の目が血走っていたのが妙に印象的だった。
発声は聞こえてるのに、何故か言われている内容が頭の中で意味をなさない。
何故わからないのかわからなくて混乱した。
視界が不自然に狭かった。
あと先刻から背中全体にかたくてデカい何かを押し付けてヤツがいるようでそれにムカついた。


12: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 22:02:40.084

視界の中に知らない人の顔が増えてきたあたりで、
自分が仰向けに寝かせられていることに気づいた。
なんとか起き上がろうとするが青い作業服がなんか怒鳴って仰向けを保とうとする。

混乱から完全に抜けきっていない中、状況を整理しようと色々考え始めた。

何故かわからないケド自分は横たわっている。
救急車が来ている。
横たわっている自分の周りに人がいて皆がこっちを見ている。
がなっている青い作業服のヘルメットは救急隊員。
俺、アタマめっちゃ固定される。あー首やったのかなぁ。
グレーのコートのねーちゃん、パンツ見えそう。

あー俺なんかケガしたんだ。。。
コレ動けるようになるよな?半身不随とかないよな?
でも何が起きたんか思い出せない。
歩道橋上ってたんだよなぁ。


13: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 22:04:02.121

意味がわかると怖い話みたいなスレでダラダラ書く人いるよね


14: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 22:08:07.436

救急車に揺られながらつらつら考えていると、急に尻というか足の付け根あたりが
キリキリキリキリィィッと痛み出した。こんな場所に痛みを感じるのは初めての経験だった。
イタイイタイっ!
救急隊員に訴えるも、
「受け入れ先あったから!そこまでの辛抱だから!」
何回訴えてもソレだった。
実際の時間は短かったんだろうけど、病院まで長かったなぁ。

病院に運び込まれる所までは記憶がある。
後から聞いたのだが、処置終わるまでは受け答えできていたらしい。
覚えていない。
そのまま入院となった。


16: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 22:12:45.310

次、気が付いたのは、翌朝の病院のベッドの上だった。
狭くて飾り気のない、でも一通り調度品がそろった個室の病室だった。
様子を見に来た看護師さんによると、会社からも暮らしているアパートからもそう遠くない総合病院だった。

お医者さんとおつきの看護師数人が病室に入ってきて説明を受けた。
首のケガしたと勝手に思い込んでいたがそんなものはなく、アタマの中も異常はないとのことだった。
両足と骨盤にヒビを含めて4か所の骨折。後遺症はおそらく出ないがリハビリは必要とのことだった。

全治2か月。医者が言い放つ。
あー会社どうしよ。入院費って結局全部でいくらかかるんだろう。やっぱボーナスって響くのかなコレ。ってか個室ってなんだよ。「知らない天井だ」ってやりたかったな。

アレコレ考える。やたらキャイキャイ弾んだ声で女性の看護士が挨拶してくれているようだったが、
殺風景な部屋に似つかわしくないなとか、こっちは大変なんだよ何をはしゃいでくれとんねん。とか考えていた。


17: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 22:17:34.798

驚いたことに次に病室に入ってきたのは俺が勤める会社の社長だった。
従業員十数人ほどの小さな会社で、総務がやりそうな細かい事務手続きもひょいひょいこなすおばあちゃんだ。
なんと俺昨日のうちに自分で社長に電話で報告入れていた。これも覚えてない。
「陸橋転がり落ちたんだって!?げらげら!!」傷病手当の申請の説明、休職の手続き。労災は申請はできるがおそらく審査通らないだろうとのこと。

実家から母親到着。入院手続きやってもらう。
「良さそうな人たちの所でお世話になれてよかったね~。すっごい丁寧に挨拶されちゃった。」
ここでやっと事故当時何があったか知らされる。
「あんた、陸橋で上から降りてくる人が転んだのを受け止めたんだって?
その人は無事で、自分はそのまま一番下まで転げ落ちるなんて相変わらずどん臭いというか間が悪いというか。」
言い草、と思ったが驚きだった。これまた全く記憶にない。俺が他人を助けたってことになっている。
見ず知らずの他人を身を挺して助ける、なんてことは自分の性格上あり得ないので、降りる人にぶつかってバランス崩したってところだろう。
さすがに階段降りている最中ならまだしも、上っている最中に自分でコケて転がり落ちたってこと事はないだろう。いくらどん臭さくても。
母親は看護師さんから聞いたと話してくれた。なんで看護師さん達にまでそんな話が回ってるんだよ。

俺は降ってわいた休暇(みたいなもん)をどう過ごしたもんか少し悩んだ。


18: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 22:19:59.868

違う日には警察も来た。
当然記憶にないが事故発生当時にも通報を受けて臨場していたらしい。
当時の覚えてることや、ほとんど何も思い出せないこと、手短に伝えたらあっさり帰っていった。

それからは随分暇な生活がしばらく続いた。
母親に頼んでアパートからノートPC、モバイルWIFI、ホッドホンを持ってきてもらいずっとそれで遊んでいた。
また入院三日目には自力で車いすに乗ることもできたので、病院内の全然関係ないデイケアに参加したり、中庭を散歩したりして過ごした。
病院のゴハンマズイって聞いていたのに、思いのほかおいしくてそれも楽しみの一つになっていた。

俺はそれでもトンカツが食いたかった。


19: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 22:21:35.707

長すぎてここにいるやつは読めないぞ


20: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 22:21:37.448

読んでるぞ。


21: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 22:24:26.960

>>19
しゃーない
>>20
あんがと

治療に専念はしているものの、平和な日々だった。
で、とある日、勤め先の同じ部署のO先輩が見舞いにきてくれた。
ちょうどベッドシーツ替えのため看護師さんが作業している中、O先輩が病室に入ってきた。
O先輩は見た目チャラいが高身長高学歴のイケメンで仕事ができる上に、後輩の面倒見がよく、俺は正直この人のために仕事頑張っているといってよかった。
「よ元気?」と会話が始まり、仕事の話、病院のメシやシャワーの話などの会話が続いた。
看護師さんが作業してる傍ら、看護師さんに聞こえないようにO先輩「看護士さんめっちゃ可愛いじゃん。紹介してよ。」
O先輩は2児の父でもあった。

「マスクしてるのになんで可愛いとかわかるんですか。この既婚者が。」
看護師さんなんてシフトで入れ替わりだろうし名前は皆わからない、と俺は続けた。
O先輩は毒づく俺を尻目に、患者の症状をダシに使って、看護師さんと楽しげにおしゃべりを始めた。
O先輩曰くナンパではなくエチケットらしい。
俺は、名前を知らないだの言った手前、O先輩と看護師さんの会話に加わるのはバツが悪く、
「よ、令和の種馬!」「二児のパパっ!」と掛け声で援護射撃をするに留めた。
看護師さんは露骨に早々に病室を去って行った。

俺は快楽天が読みたくなった。


22: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 22:26:52.973

読んでるけど実体験と言いつつ
単語や文体は小説用なのが萎える


23: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 22:27:50.850

あくる日、病室にきた看護師のS賀さんに話しかけられた。
「アナタさ、見舞いに来る彼女とかいないワケ?」
アナタ、なのか、アンタ、なのか判別しづらい発音で切り出された。

S賀さんはお局とまでは言えないにしろ、年季の入った熟練看護師さんだ。
小柄ながら機敏さを感じさせる無駄のない作業と、溌らつとしたコミュニケーションが好印象な職人肌だ。
俺はS賀さんだけは入院当初よりすぐに名前と顔を覚えることができた。小柄で蓬髪であることから見分けも付きやすかった
何度か見かけた、他の看護師さんに指示を出す姿は、異業種の俺から見ても「デキる女カッコイイ」とファンになっていた。


親以外の見舞客なんてO先輩が一回来たきりなので心配でもかけたのだろうか?
「うんにゃあ、そんな者はおりゃしませんです。」
「うちの病棟のコ、美人ぞろいでしょ。気になるコとかいない?」
いいのかよ看護師がそんなこと言って。ご法度だろ普通。
「皆さんマスク完備じゃないですか。わかんないですよ美人とか。」
「でもY野はキレイなのわかるでしょ?」


24: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 22:29:06.840

読んでるけど実体験と言いつつ
単語や文体は小説用なのは萎える
40代とみた


25: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 22:32:32.558

>>24
超惜しい。

書きためたやつに追加修正しながら書き込んでいるので
もうちょっと増えるかも。長くてゴメンね。


・・・Y野。知らない名だった。
「Y野さんという方は看護師さんなんですか?」
「はぁ?Y野よ?アナタの担当についてる。わーいーのっ!」
「寡聞にして聞いたことございませんで。私を担当している看護師さんがいらっしゃるのも知りませんでした。」
「あっれぇ?そうなの?」
俺のアイドルS賀さんは面食らっている様子を隠そうともしない。
担当初日にY野が挨拶をした、私も先生も傍らにいたから覚えている、などとまくし立ててきたがやっぱり覚えていない。
「事故の次の日じゃないの。あの頃にはもう頭の中ハッキリしていたでしょう?」
「すみません、多分聞いてなかったんだと思います。先生から数週間入院と言われて、人生初のことだったので混乱していたんだと思います多分。」
アイドルS賀は作業が片付いたのか、うーん、とか、はぁーとか、判然としない溜息を洩らしながら病室から出ていく。

その後その日は、診察のタイミングで迎えに来る看護師さんや、検温だの部材交換だので来る看護師さんを注意して観察していたが、誰も彼も別人にも見えたし、同一人物に見えた。
たまに胸の名札が見える看護師さんもいたが、Y野という字は読み取れなかった。
というかこんなの普通に見分けがつかなくないか?みんな同じ制服、マスク着用、似たような髪型だぞ。
その担当看護師さんが誰かわからなくても今まで困らなかったし、まぁいっか。今すぐ判別できなきゃいけないわけでもないし。
その日はリハビリの後、病院の中庭にいた知らない子供と遊んで過ごした。Y野何某の話はすぐに忘れた。


26: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 22:36:29.850

治療の経過が良好な日々が過ぎ、リハビリも順調にこなし、医師と相談して退院日が決定できたあくる日のことだった。
S賀さん登場「はーい散歩の時間でーす。介助付くから車イスいらないヨネー。」
あたかもそんな予定があらかじめ組まれている言い方だがそんなものはない。でもS賀さんのお誘いなら是非も無し。
是非もないが、なぜ誘った挙句介助付きの散歩なんだろう。
散歩に介助が不要と判断されたのは入院から1か月もかからなかったので、なぜ今更という疑問は感じた。

ベッドから立ち上がり、病室備え付けのハンガーラックからダウンを取り出したところで、気が付いた。
S賀さん以外の看護師さんが一人、病室出入口に所在無さげに立っていた。
まず目を引いたのは、その身長だった。180cmあるんじゃないか。男性看護師さんが少ないこの病院では、軽い猫背も手伝ってか、明らかに異質な体格に見えた。
複数のヘアピンで髪をがちがちに固められた頭は頭蓋の形がよくわかった。
胸につけている名札はY野と記されていた。


34: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 23:12:26.078

ただいまです。
disりだろうがレスつくこと自体うれしい。
スレ立てなんて随分久しぶりなので。

おお、この人こそが件のY野さんなんだな。なんか妙な迫力がある。ちょっと怖い。
てかこんなデケェねーちゃん今までいたか?
担当してくれているということを今の今まで知らなかったことをY野さんに悟られない様に
「お疲れ様です。」と軽く頭を下げ挨拶した。
「お疲れ様です。」と小さな声で返事が返ってきた。どうも所作から察するにS賀さんについて来るようだ。なんか気ぃ使うしヤダなぁ。
S賀さんとY野さんに付き合って彼女らのコートを取りに行ってから、歩いて中庭に出た。

外を吹く風はまだ少し冷たかったが、陽は高く照って充分暖かかったため、ダウンジャケットは少々役不足だった。

なぜ散歩に連れ出されたか?言い方を変えると、なぜ二人の看護師は余人の交えぬ場所へ俺を呼び出したか?理由が判明した。
それと同時に俺は生まれてこのかた経験したことのない、ある種の恐怖を体験した。


36: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 23:16:01.597

Y野「俺さんを陸橋から突き落としたのは私です。」

出すべき言葉が見つからなかった。おそらくスゴイしかめっ面を見せていたと思う。
頭の整理が追い付かない。

陸橋の階段から俺を突き落としたのが目の前の看護師さんっ!?
てか俺あの時突き落とされたのっ!?
なんでこの人が俺を突き落とす?動機は!?
「突き落とす」という語彙のチョイスだと怨恨?だとすれば俺とY野さんは事故前から何らかの形で接点があったのか?
その人の勤め先がこの病院で、たまたまそこに担ぎ込まれた?
それでもって担当看護師になって?
担当看護師として接近してまで何がしたかったんだ?恐喝?
その割には今日の今日まで何も起きなかった。
この人は、いままでこの1か月半もの間、俺に何をしようとしていたのだろう?

そこまで考えると急に首筋に怖気が走った。突然の緊張のせいか、気道が狭まり、小さくひゅうっ、と鳴った。
中庭に設えられた、複数あるハット付きのテーブルベンチの一つに座っているY野さんの様子を、S賀さんはすぐ隣に座って見ている。
Y野さんの自白を聞いて慌てている様子はない。
背中とわきの下に発汗を感じた。冷たく気持ちの悪い汗。


37: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 23:18:35.649

S賀さんは知っていた。まさか共犯?いやさすがに突飛だろう。
S賀さんは俺のほうを見ずにY野さんの肩甲骨あたりを撫でていた。目尻に深い皺が幾つも出来ていた。
Y野と言えば、猫背のせいか上目遣い気味にこちらを見つめ、俺の出方を伺っているように見えた。
S賀さんが付き添って、Y野さんが警察に出頭するところを想像した。

突飛な想像を続けてしまったせいで少し落ち着いた。馬鹿々々しいと感じたのかもしれない。
いろいろ想像するより聞いたほうが速い、と漸く思い至り、席の向かいに座るY野さんに問いかけた。

「突き落とした、とおっしゃいましたがつまり故意で、ということでしょうか?」
「故意じゃないですっ。違いますっ。違うんです。」
この時初めて彼女の声を聴いた気がした。
当時の記憶がいまだに曖昧な俺は、事故(事件?)のいきさつを説明してくれるよう促した。
階段を上っていた最中に誰かと接触して転げ落ちた、という話しか周りからは聞いていない。

「ぼーっとしてた私が悪いんです。でも腕に、なんか腕が、お、思いっきり体重かけちゃって。」
だの。
「瞳孔反応もバイタルもちゃんとしているのにちゃんと何度呼びかけてるのにちゃんと」
何言ってんのか全然わからなかった。
ただ、顔のマスク以外の場所が赤々としていたので、何かを真摯に伝えようとしているのは感じ取れた。

「でも入院してからずっと私俺さんに無視されてて、あのあのそこまで嫌われてるのが辛くて、でもちゃんと謝ったつもりでごめんなさい。」
脈絡もない。


38: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 23:22:00.227

「この子ね、階段から落ちそうになった体を、アナタに抱き留めてもらったんだって。」
S賀さんが掩護射撃を放つ。
「でアナタ代わりにバランス崩して、階段の下まで一直線だったんだって。」
「転げ落ちている間アナタずっと手すりを掴もうとしてずっと失敗してたんだってさ。」
どうでもいい。
「で、その後すぐ救護したのもこの子。救急車と警察呼んだのもこの子。救急車が病院つくまでずっと付き添って声かけ続けたのもこの子。」
アナタホントに覚えてないのねェ。あきれ声が続いた。

「Y野ね、俺さんは私が完治まで全部面倒見て送り出すんだー。シフトずらしてでもお世話するんだー。なんて言ってそりゃえらい燃えようだったわよ。」
「あんだけ精出して尽くしたってのに、まさか全部認知されていないなんてねぇ」
S賀さんは自分のことのように肩を落とした。
とても大事にしている後輩なのだろう、と思った。

「最初は、退院したらどうやって会えばいいんだ、とか、連絡先って本人から聞いていいのか、とか、お母様に挨拶しちゃいましたー。とかウキウキだったのにねェ。」


39: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 23:26:40.038

過ぎた事なのに言いようのない不安感が沸き上がってくる。
つまり、この得体の知れない女は、俺の知らないところで、俺の知らないうちに、ずっと俺を見ていた。ってことじゃないか。

なんと言い表せば他人に伝えられるのかわからない。
自分からは見えも聞こえもしない相手に、一か月半の間、
ずっと銃口を突き付けられ、その銃爪にかかる指は情緒不安定でずっと震えていた。そう後から伝え聞いた時の心境、がこんな感じかもしれない。
一度引いたと思っていた冷や汗をまた感じた。


40: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 23:30:17.252

「まさか名前も顔も知られてないなんてねェ。」
S賀さんの正確無比な掩護の間、Y野さんは上を向いて目を見開いていた。
すぐに、零れ落ちないために我慢しているのだと気づいた。

あーでもそれがきっと真実なんだな、と諦めと安堵からか、自分のテンションが緩んだ。
「でもそれなら突き落とした、は語弊じゃないですか?」
「あ、え、と、突き飛ばした、です・・・」甲高い声になったY野さんがしゃべる。
一々有り得ない返事が来ることに、今度はY野さんの人間性が不安になった。

「じゃあ、であれば、俺はY野さんに感謝しなければいけない立場ですよね。」
感謝すべき、というのは本心なのに気だるげな声色になってしまった。
「ちなみに担当を立候補したのも病室個室あてがったのもY野が言い出しっぺね」
まぁ大部屋に空きがなかったてのもあるけどね。S賀さんの追撃が刺さる。

「Y野さん、」おれは居住まいを正して続ける。
「私の知らないところで相当なご苦労をおかけしてしまい、しかもそれに蒙昧であったようですみませんでした。」
「誓ってY野さん個人を嫌っているなんてことはございません。何分Y野さんを今日まで認識できていなかった自分の不明です。」
「Y野さんのおかげで、治療もリハビリも全て順調でした。」
俺は思いつく限りの、見せかけの誠意を見せるために口上を読み上げた。


41: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 23:32:25.273

それを聞き終えたY野さんは、幾らか間を置いた後、ベンチからゆらりと立ち上がった。
何が来るのか体が強張ってしまった。高身長がいきなり立ち上がると怖い。
Y野さんはいまだに甲高いままの声で「退院まであと少しですが、改めてよろしくお願いします。Y野K美です。」と挨拶された。
この時、俺は脳裏で歯車が噛み合う感覚を得た。
このコート、このグレー、事故の時、救急隊員の傍らにいたパンツのねーちゃんだ!

今更ながら自分が如何に愚鈍であるかを思い出させられた感覚に陥って、何か他にフォローできることがないか思いを巡らせた。
「個室の件ですが、今からでも空きがあれば大部屋に戻していただけませんか。個人的な理由で特別扱いを受けるのは少々きまりが悪いです。」

Y野さんS賀さんは既にベンチから立ち上がり、病棟に俺を戻すため、ハットから出ようとこちらに背を向けていた。
あ、余計なこと言ったかも。と思ったがもう遅かった。
S賀さんはこちらをチラリと振り返り、眉間に1本長い皺を刻みつつ、マスクから覗く面積の少ない瞳で俺を射すくめてきた。
ガンを飛ばされるなんて数十年ぶりだった。
一日に何度もそれぞれ違う恐怖を味わうなんて、レアな体験できたな。


42: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 23:36:00.197

「空きできてるか確認しますね。」
Y野さんの返事が返ってきた。もう甲高くはない。そうかこの声で病院に収容されるまでずっと励まし続けてくれたんだ。
覚えておきたかったな、もったいないことしたなと、今更過ぎる後悔を感じた。

次で最後。


44: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 23:40:13.136

後日。
O先輩「恐怖体験ってほどではなくね?怪談とも違うし。
    何を怖がってんのかサッパリ。
    そんなことより、Y野さんとは退院後どうなのよ俺後輩。」
俺「金輪際会ってませんよ?」
O先輩「へ?そりゃ告られたわけじゃないけど向こうはまんざらじゃなさそうじゃん。
    連絡先交換とか結局しなかったの?」
俺「特には。愛想尽きたんでしょう。あの後もやっぱりS賀さん以外見分けつかないですし。
  寝っ転がっていると立っている人の身長の高さって案外とわかんないですね。」
O先輩「まぁまだ通院続けてるんじゃまだチャンスあるじゃん。」
俺「通院先、家の最寄り病院にしましたよ。やっぱなんかまだ怖いもん。」
O先輩「オメェが怖ぇよ。入院最終日とかも何にもナシなん?」
俺「退院するとき、退院手続きと会計とは別に、ナースステーションに貸与物を返しに行くんですが。その時ナント。」
O先輩「おお、ほんでほんで?」
俺「ナースステーション、まさかの全員からガン無視されました。」
O先輩「うんと骨身に染みな。」
終わり。

誰かこの恐怖感に共感してくれる人がこの板ならいるんじゃないか、と思って書き込ませてもらいました。
冗長、わかりづらい、ご意見も拝聴します。


46: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 23:42:09.505

頭を打ってないのに記憶がないのが突飛過ぎて怖さが目減りしてる
そこが怖いところなのかも知れないけど
フェイク無しのバージョンも読んでみたい


49: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2023/05/30(火) 23:53:19.107


マスク社会が続いたから何が恐怖なのかは伝わりやすいと思う
ただY野さんに>>1の嗜好が反映され過ぎてるような気配が文から漂ってきてあんまり怖くなかった

引用元: https://mi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1685450362/


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